【月刊ビジネスアイ エネコ 地球環境とエネルギー、2018年6月号、8-11ページ】 オランダのエネルギー関連企業が日本に進出し、新手のサービスをスタートさせ話題になっている。自治体などと組み、地域の住民に環境にやさしい電気への切り替えや太陽光発電の導入を、行動経済学におけるナッジの手法を用いて後押しするというもの。住民はエコな電気を経済的に購入でき、自治体は、再生可能エネルギーの利用が進むことで、温暖化対策の進展が期待できる。小売電気事業者や太陽光パネル設置業者はまとまった顧客獲得が見込めるという。アイチューザー日本法人の藤井俊嗣社長(48)に海外での実績や日本での事業展開について聞いた。 (本誌編集長 本田賢一) ——どのような会社ですか 「アイチューザーは日本を含め5カ国に事業拠点を構え、大きく2つの事業を展開しています。1つは、消費者がエネルギーのスイッチング(切り替え)をスムーズに行えるようサポートすること。もう1つは、太陽光発電の導入を消費者に促すことです。日本では、再エネ電力を一定割合含むクリーンな電力への切り替えと、太陽光発電の導入を促進していきます。消費者に判断を促し、その決断を後押しするにあたり、当社では行動経済学※の考え方を取り入れています。」 ※行動経済学=経済行動を心理学の視点を交えて分析する学問。行動経済学の観点から、消費者にちょっとした示唆を与え、行動を促す手法「ナッジ」もその1つである。例えば、飲食店のメニューで「店長オススメ」という文字をみて、思わずそのメニューを注文してしまうケースなどがそれにあたる。 「アイチューザーは2008年に設立され、本社はオランダのアムステルダムにあります。支社がベルギー・アントワープ、英ロンドン、米テキサス州、東京にあります。日本法人は昨年11月に設立され、今年1月から本格的に事業を開始しました。」 ——日本進出の背景は? 「日本では16年4月に電力小売りが完全自由化されましたが、契約を切り替えた消費者はいまだ約10%です。なぜ、低調なのか。行動経済学では、消費者をエコノとヒューマンに分類しています。エコノは、数ある複雑なプランの中から、自分の電気や携帯電話の使い方などを分析し、土のプランが自分にとって得なのか調べ、自ら切り替えを決めるタイプです。このタイプは消費者全体からみるとわずかです。大部分がヒューマンで、契約を切り替えたら電気料金が安くなりそうだと思いつつ、切り替えを決断できずにそのままにしてしまうタイプです。低調なスイッチング率をみますと、日本にもヒューマンタイプの消費者がより多くいると推測します。そこで当社が、コミュニティリーダー(そのコミュニティで強い信頼を得ている組織、主に自治体)と取り組むことにより、地域の消費者が切り替えなどを自主的に決断できるようサポートします」 記事詳細は下記PDFよりご覧いただけます。画像をクリックください。