蘭企業が電気の共同購入提案 消費者の切り替え後押し

【エネルギーフォーラム、2018年6月号、77ページ】

電力・ガスの契約切り替えの起爆剤になるか——。欧州市場を中心に、電力・ガスの共同購入による契約切り替え支援を手掛けるオランダの企業、「アイチューザー」が今夏、日本市場に参入する。2008年にベルギー・アントワープで発足した同社は現在、活動拠点を欧米5カ国に広げている。

提供しているのは、自治体などがコミュニティーリーダーとなって市民から参加を募り、電力・ガスの共同購入のためのグループを構成、入札を実施して、グループの購入先を1社に決めるブログラムだ。電力・ガスの小売り自由化で先行する欧米市場で培ったノウハウを生かし、日本でも、同様のプログラムを全国で提案していく。東京都内で説明会を開いたところ、地域の再生可能エネルギーの利用促進と、それによる循環型社会の形成をいかにして実現するかを模索している自治体が、高い関心を示したという。

日本では、電力小売り全面自由化から2年が経過したが、家庭の契約切り替え(スイッチング率)は1割未満。地方であるほどこの傾向は強い。400を超える小売り電気事業者が新規参入したが、事業者側の期待とは裏腹に、消費者のエネルギー切り替えへの関心は低いままだ。

 

供給者、顧客双方にメリット。太陽光パネルでも実施検討

「欧州も自由化後、家庭の消費者はなかなかスイッチングしませんでした。消費者は必ずしも合理的な判断で決断、実行するとは限らないという行動経済学の考え方に基づいて生み出されたのが、このプログラムです」と語るのは、日本法人の藤井俊嗣代表取締役。

自ら積極的に情報を集め、合理的な判断に基づいて決断する消費者はごくわずか。大半を占めるのは、あふれるような情報量と選択肢、乏しい事業者への信頼性が足かせとなり、なかなか決断できない消費者だ。

同社のプログラムは、①信頼性や安心感、②シンプルで分かりやすい情報提供、③複数社からベストな条件の1社に絞り込む——といった手法で、消極的な消費者に決断を促すもの。消費者は従来の契約よりも安いエネルギー価格を享受できるほか、供給事業者側は多数の顧客を一度に獲得できるチャンスを得ることができる。双方にメリットがある仕組だ。

太陽光発電パネルでも、同様の共同調達プログラムの実施を検討している。藤井代表は、「欧州のプログラムをそのまま日本に当てはめても機能しない可能性があります。1年ほどかけて3~4件の実証を実施し、日本に適応したプログラムにしていきます」と、日本に根差したビジネス展開に意欲を見せた。

http://www.energy-forum.co.jp/eccube/html/user_data/ef_bkNumber/en201806.html

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